Internship

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AILab 研究領域チームインタビュー

AI研究所で経済学?

謎の経済学徒集団ADEconチーム

AI Lab -AD Econ-

  ADEconチームのリーダー安井さん、今回のサマーインターンでメンターを担当して下さる森脇さんのこれまでのキャリアを教えてください。

安井:
2013年Norwegian School of Economics MSc in Economics 修了後、サイバーエージェント入社。 入社後は広告代理店にて広告効果検証等を行い、2015年にアドテクスタジオへ異動、以降はDMP・DSP・SSPと各種のアドテク商品においてデータを元にした意思決定のコンサルティング等を担当しました。 現在はAI LabのADEconグループのリーダを担当しています。

   

森脇:
2017年サイバーエージェント中途入社。位置情報を用いた行動ターゲティングプラットフォーム「AirTrack」のデータサイエンティストを経て2018年2月よりAI Lab リサーチサイエンティストをしています。サイバーエージェント入社前は、内閣府において経済政策の企画立案や経済財政白書の執筆、経済統計改革の推進などに携わりました。専門は労働・医療経済学、マクロ経済学。2015年ニューヨーク州立大学アルバニー校経済学博士課程修了。経済学博士。

サイバーエージェントにおける経済学の活用例を教えて下さい。

安井:
一番目立つ活用としては計量経済学及び因果推論の活用になると思いますが、最近ではAIによって生み出されたデータを分析する方法としての役割も持つようになってきています。 多くのテック企業では”プロダクト”と呼ばれるものを作り、ユーザーやクライアントからお金をもらう形で売り上げと利益を作っています。
例えばアドテクスタジオのいくつかのチームではDSPと呼ばれる広告配信システムをプロダクトとして作っていますが、これはインターネット上に存在するユーザーに対して広告を見せることでその広告の企業から広告費をもらうといったものです。 計量経済学は伝統的には社会というある種のプロダクトにおける政策や介入を評価してきたため、テック企業のプロダクトでの施策や介入が、売り上げや利益だけでなくユーザーやクライアント企業にあたえる影響を示す事に使われる事は自然な事だと思います。 しかし、テック企業は社会と比較して売り上げや利益を目指すというプロダクトとしての目的が大きく違うだけでなく、データの取得頻度やその粒度が違う上に、内部における意思決定の方法も大きく異なります。データの性質に関してはビッグデータと呼ばれて何年か前に話題になりましたが、ユーザーに関する希薄なデータが大量にあるという状態になるため、教科書にあるような計量経済学の方法をそのまま適用する事は困難です。また、プロダクトにおける施策や介入の意思決定の多くは機械学習や強化学習を利用した所謂AIによって自動化が施されています。このように人間ではなく自動化技術がデータ生成過程の中心にいるような状況においてどのように分析を行い、それを元に人間もしくはAIに意思決定を促していくのかを探求する事はテーマとして非常に面白いです。

日頃行なっている業務について教えてください。

安井:
今はバンディットアルゴリズムによって自動化された意思決定で生まれたデータからその意思決定における選択肢の効果を検証したり、その意思決定プロセス自体を評価する様な活動をプロダクトに所属する経済学系データサイエンティストと共に行なっています。 より具体的な例としては広告のバナー画像の選択の問題においてこの様な活動に取り組んでいます。広告のバナー画像を選択するというタスクは伝統的にはABテストが利用されてきました。
例えば最初の1週間ABテストを行なって、後の1週間ではよりクリックされる確率が高かったバナーを利用するといった感じです。一方でバンディットを利用する場合では実験をいくらか行いながらもその時点で推定されているクリック確率が高い方を選ぶといった事が行われます。この時にクリック確率の推定にユーザーの特徴などを用いたモデルを利用すれば、特徴ごとに実験が行われている様な状況にもなり、文脈付きバンディットと呼ばれてます。このような事から、バンディットが自動化と細分化を行うことから意思決定の方法として利便性が高いだけでなく、ユーザー毎に選択を変化させられる様な柔軟性も備えた方法であると言えます。 文脈付きバンディットはクリックの確率を推定する方法を変える事でその性能が変化するため、様々な改善のアイデアが存在することになります。このようなアイデアは理想的にはABテストを行うことで評価ができれば良いのですが、アイデアの実現にエンジニアの工数のようなコストがかさむためあまり現実的ではありません。このような要求からバンディットアルゴリズムをログデータにおいて評価する方法を確立させることは非常に重要だと考えられており、因果推論の考え方を用いる必要性が存在します。 よって、上記のようなオフライン評価のトピックに関してYale大学の成田さんと矢田さんと共同研究を行なっており、その成果の一つとしての共著論文が人工知能分野の国際会議であるAAAIに採択されています。 これらの一連の話の内容は以下の資料で公開しているので、興味のあるかたは参照いただければと思います。

▼bandit with causality
https://www.slideshare.net/shotayasui/l-05-bandit-with-causality

森脇:
私も直近では、バンディットアルゴリズム関連の研究をしています。元が文系なので、より人間の心理状態にフォーカスした研究に興味があります。具体的には、マーケティングサイエンスでよく言われる「広告への飽き」のようなものが広告効果とどう関連するのかといったことを研究しています。これは、慶應義塾大学の星野崇宏教授のアイデアに基づくもので、従来のバンディットアルゴリズムを拡張して広告視聴によるユーザーの心理状態の変化を考慮して最適な広告クリエイティブを選択するようなアルゴリズムを考えるものです。星野先生に色々教えていただきながら共同研究を行なっています。 一方で、入社以来関わっている広告プラットフォームのAirTrackのデータ基盤整備といった地道なこともしています。アドテクの膨大なデータはオープンデータと連携することでよりその価値を発揮できると思っています。ウェブ上のオープンデータ、あるいはウェアラブルのセンサーデータなど、選り好みせずにいろんなデータを触っている感じですね。もともと内閣府で政府統計を用いた経済分析をしていたのですが、ビッグデータと既存統計の組み合わせみたいなところがすごく関心があります。 最近もそうした考えを念頭にブログ記事を書きました。

今回のインターンでは、どのような研究を行う予定ですか?

森脇:
「複数データを総合的に用いた生活者の行動分析」をテーマに、スマホ由来の様々なデータを計量経済学や計算社会科学などの統計的な手法で融合的に活用して何らかの知見を出せればと思っています。 データとしては、位置情報や購買データ、広告配信ログなど様々なものがあり、それぞれ一筋縄ではいかないのですが、それらに適したリサーチクエスチョンを考えてとにかくやってみるという感じです。

インターンに参加することで、博士課程の学生の皆さんにとってどんな魅力があるでしょうか。また、どんな成果を一緒に出したいですか?

森脇:
特に経済学分野ではデータのユニークさは非常に価値のあるもので、使い古された手法でも丁寧にデータをクレンジングして説得力のある結果を導き出せればそれだけで評価されるのではないかと思います。ライドシェアや民泊のデータを使った研究などは最近非常に盛り上がっており、どこかに新たな面白いデータがないか世界中の研究者が血まなこになっていると思います。そうしたなかで、普段あまり触れないデータを扱えることは非常に有利な立場になるのではないかと思います。また、ユニークなデータに寄り添った分析をする過程で新たな手法を生み出すという可能性もあります。 成果としては、博論のひとつの章にしてほしいというのが一番です。どういう形であれ、一本の論文として仕上げてもらい、その過程で得た知見を事業に活用できればと思っています。

ADEconチームとして目指す今後のビジョンを教えてください。

安井:
見栄を張って言えば「データを利用した意思決定の新しい方法を作る」といったものになると思います。テック企業のビジネスでは高頻度で細分化された意思決定を様々な種類のデータを元に行う事が求められます。その様な環境下で合理的な意思決定を行いプロダクトを改善する方法を機械学習・強化学習・因果推論・計量経済学を利用して作る事を目指しています。 また一方で、その様な意思決定方法が導入できることを前提としたプロダクトのデザインを、ゲーム理論やメカニズムデザインの視点から探求する事も目指す事が出来れば非常に面白いと考えています。

それでは最後に、皆様にメッセージをお願いいたします!

安井・森脇:
AI Labの面白さは、データもさることながら色々な領域の専門家が手の届くところにいるということにあります。 画像や言語、機械学習を専門とするAI Labリサーチサイエンティストや、事業部のデータサイエンティスト、エンジニア、また共同研究を行なっている外部の研究者とすぐ話すことができるので、初めて扱うデータや技術でもそこまで外さずに使えるようになってしまうという感じです。 ユニークなデータと優秀なコラボレータがいる環境ですのでぜひご応募ください。

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